その会社が事業経営のグリップをしっかり握っているかどうかは、
数値で事業活動の状況を語っているかで分かります。
「○○に問題が発生しています」 ← どのくらい問題なのか?
「○○は順調です」 ← どのように順調なのか?
「○○が改善しています」 ← どれだけ改善したのか?
これらの報告・議論を数字なしで行っている会社は、いづれ事業経営が立ち行かなくなるでしょう。
ところが、私の知る会社の中にも、年次決算時以外は、会社全体の売上高と経費しか数値管理していないという会社がありました。
一人でやっている会社ではなく、20名ほどの従業員がいる会社です。
その話を聞いて、思わず
「それざっくりし過ぎでしょう。。それでよくこれまで舵取りできましたね〜。」
と突っ込みを入れたら、その経営者は苦笑していました。
数値管理する対象は、売上、費用、営業利益といった財務指標だけでなく、
オペレーションがしっかり回っているかも数値で捉える必要があります。
そして、経営チームの各メンバーが、担当している業務に関連するオペレーション指標の
オーナーシップを持つことが重要です。
営業担当が売上という数値にコミットするように、生産、購買、経理、在庫などの業務責任者にも、関連するオペレーション指標に対するオーナーシップを持たせます。
(各指標には、必ず1名がオーナーとなるようにします。複数の業務に関連するから、数名が1つの指標のオーナーになるのは駄目です)
このようにして、経営チームの各担当者に、「数値」を持たせることで、
以下のようなメリットが期待できます。
1. 曖昧で主観的なコミュニケーションが廃除される
2. 各メンバーへの期待値と責任が明確になる
3. 良き競争を生まれる
4. 結果へのコミットメントが引き出される
6. 問題の解決が早くなる
そして、重要なことが2つあります。
1つは、数値は把握するだけでなく、必ず目標値を設定すること。そして段階的に目標値を上げ、継続的な改善を促すこと。
もう1つは、数値の集計・把握は分析的であること。つまり、もし指標の数値が悪化した場合、その原因を追求する手がかりとなるように、数値をさらに分解できる粒度で収集しておくこと。たとえば、ある指標が悪化したら、その会社全体の数値を、製品別、地域別、担当営業別などに分解して、どこに問題があるのかを確認できるような形でデータ集計しておくことです。
事業規模によっては、このような数値集計の作業は膨大になるので、ITシステムを駆使してなるべく自動化すべきです。ただ、そのような仕組みをすぐには作れないという会社も多く、マニュアル作業で対応することが多いでしょう。
だからこそ、あれもこれもと欲張るのではなく、どの数値を指標として管理すべきか、その目的をよく吟味して定期的なデータ収集・レポート作成の対象とする数値を絞り込む必要はあります。
このように経営に数値を用いたコミュニケーションを習慣化されると、
経営チーム内の議論がより客観的・具体的になり、正しい情報と理解の共有ができます。
「数字で事業活動の状況を語れること」
これが事業のステージアップの第一歩だと思います。